弘武館道場


[弘武館道場の背景]
弘武館道場は、「合気道を通して、青少年の健全な育成と社会に役立つ人つくりを」という中島孝雄館長の思いに、野村医院の先代の院長、野村弘先生が賛同されて稽古場所を提供して下さった常設の道場です。
残念ながら先代の弘院長は平成19年に逝去されましたが、以来、奥様である副医院長の野村静江先生、現在の院長の野村武先生も同様に支援をしてくださっています。

[中島館長とは]
経歴:
昭和20年11月 群馬県桐生市で出生
昭和39年から42年間 警視庁に奉職
 機動隊 要人警護(SP)その他の任務と平行して
 35年余にわたり主任指導員として合気道を指導。
平成11年4月 孝道会を発足
平成20年6月 弘武館道場を設立
平成27年6月 逝去

生前の資格:
養神館合気道八段 師範
養神館合気道 神奈川支部長
養神館本部 指導講師

[弘武館道場の特徴]
中島館長は弘武館道場の特徴を以下のように端的に説明しています。
私(中島)は機動隊の主任指導員として犯罪現場で多くのルールのない「実戦」を経験しました。
胸を手術した際にも、これで戦えるだろうか?と思い、退院の直後に稽古をしてみました。すると傷が痛まないように力を入れていないのに、抵抗する相手が見事に倒れてゆくのです。
この経験で塩田剛三先生が言われた「軸と線」が理解できました。
このような実戦に裏打ちされた、しかも力を使わない合気道をすべてお伝えします。

[中島館長の伝承]
1)合気道は和の武道?
合気道の解説の多くに「合気道は和の武道」といった表現が見られます。
しかし敵を倒す練習に「和」などがあるでしょうか?
「抵抗しては合気道じゃないよ」というセリフは、「和」を取り違えた、単なる馴れ合い稽古の言い変え、あるいは強い人にかなわない上位者の言い訳にすぎない場合もあります。

実戦を経験された中島館長は「下位者が、上位者の効かない技で倒れるのは上位者に失礼ですよ」と繰り返し言われました。馴れ合いを避ける稽古だから、体力で抵抗する下位者を腕力を使わずに倒す、という厳しさが上位者には要求されるのです。

ただし初心者や下位の者はそれでは技が身につきません。
そこで上位の者は、わずかな抵抗を与えて下位の者を伸ばしなさい、下位の者が正しい動きができるように、かつ馴れ合いにならないように指導しなさい、と言われました。
それが相手を倒し合うだけのスポーツにはない「和」ということでした。

ともに稽古をしながら、馴れ合いや言い訳ではない「和」を身につけてゆきましょう。

2)合気道は自然に逆らわない?

多くの解説書で「合気道は自然の理法に逆らわない」という説明を見受けます。

相手が押したり引いたりする力、それに自分の力を合わせるのだから自然に逆らわない、というのです。しかしそれだけなら柔道や相撲と同じことです。あえて合気道が天地自然と一体だなどと宣言するほどのことでもありません。

では柔道や相撲と何がちがうのか?
合気道の崩しは、相手が崩されたと気が付かない、そこに特徴があるのだ、と館長から教えていただきました。
安定して直立した相手の重心は足の裏の真ん中にあります。その重心を3cmだけ動かしなさい、それだけの移動だから相手は「崩された!」と意識しない、そこで技をかけなさい、と言われるのです。

さらに進めると、相手の力を利用するのではなく、無抵抗、無力化してしまう、と言われるのです。館長の袖を強く掴んでも力が逃げてしまう体験を何度もさせていただきました。

ここまでの高度なレベルも、ともに稽古をしながら体感できるようになるといいですね。



3)中島流の教え
中島館長は以上の理念を以下のようにまとめられました。
 
 力を入れない   (理合を学ぶ)
 力を入れる  (理合を実行する)
 力を抜く  (呼吸力を学ぶ)



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